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論文

 現在、日本の人口は1億2700万人弱ですが、現在のままで推移すると2007年頃に1億2780万人程度で最大になり、それ以後は減少して、50年後には1億人、100年後には4280万人と半分になり、200年後には1000万人を切り、1300年後にはゼロとなるそうです。
 これは合計特殊出生率を利用して推計した数字です。
 人口の将来を考えるとき、男は無関係で妊娠可能な女性を基準に推計します。
 合計特殊出生率は、普通、女性が一生に生む子供の数といわれますが、もう少詳しく説明すると、妊娠の可能性がある15歳から49歳までの女性について、昨年、15歳の女性100人につき何人子供が生まれたか、16歳100人につき何人という数字を49歳まで調べて、その数字を合計したものです。
 分りやすく言えば、ある女性が昨年のような状況で一生を過ごせば、生涯に何人子供を産むかを推計したものです。

 そうすると夫婦で2人以上作らないと人口が減っていくというわけですが、15歳以前に亡くなって子供を産む機会がない女性もいますから、普通は2・08人が人口を維持する最低限といわれています。
 日本は戦後のベビーブームのときは4・0を越えていました。しかし1957年に2・04となって、2・08以下になったのですが、73年には第二次ベビーブームで2・14に回復しました。ところが75年に2.0を切ってしまい、それ以後、最低記録を毎年更新して、2000年には1・34になってしまいました。

 外国を見ると、先進諸国ではアメリカだけが2・06程度ですが、ヨーロッパはすべて2・0以下です。

 世界の人口が現在60億人を突破し、50年後には100億人突破ともいわれていますから、地球全体としては増えないほうがいいという考え方もありますが、やはり日本としては増えたほうがいいということで、色々と対策が考えられています。
 1)地方自治体では祝い金を出しているところがあります。
   ・鳥取県大山町(人口6800人)は第3子以降は出産時に50万円、3歳のときに20万円、6歳の
   ときに30万円で、合計100万円
   ・福島県会津高田町(人口16000人)は第4子以降について、6歳まで毎年10万円の町内で使える
   商品券
   ・石川県河内村(人口1274人)は第3子以降について、6歳まで毎月3万円、さらに中学校卒業時に
   100万円(合計316万円)
 2)育児休業制度の充実
   ・日本では10年前の1991(平成3年)5月「育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者
   の福祉に関する法律」が成立していますが、不十分であり、女性は56%が取得していますが、男子は
   0・4%でしかありません。
   ・ノルウェーでは賃金の全額補償で42週、8割補償で52週が認められ、1980年代後半から上昇、
   1・84になりました。
 3)保育制度の充実
   北欧やフランスでも女性の就業率と出生率にはプラスの関係があります。それは育児施設などが充実して
   いるせいです。
 4)婚外子の社会的認知
   ・スウェーデンでは出産届で父親の名前は届け出自由で、社会的に差別がありません。その結果、一時は
   2・06まで向上しました。現在でも50%以上が婚外子、フランスも40%以上が非嫡出子。日本は
   99%が嫡出子です。
 5)移民の受入
   ・日本の生産年齢人口(15〜64歳)を維持しようとすれば、2050年までに毎年60万人の移民が
   必要(国連経済社会局2001年3月)

 一方、増加しなくてもいいという意見もあります。豊かな社会はどこも人口が減少しているし、女性の人生は育児・家事ではないから、人口が減少した状態に合わせた社会を形成していくことが重要という見解です。





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