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今週は「言葉が消えていく!」というショッキングな話をしたいと思います。 世界には約6500種類の言葉があると推定されていますが、母国語としている人数で数えると、 1 中国語 11億1300万人 2 英語 3億7200万人 3 ヒンディ語 3億1600万人 4 スペイン語 3億400万人 5 アラビア語 2億100万人 9 日本語 1億2500万人 などという大言語から、 北米インディアンの話している ペノブスコット語 10人 パラウ諸島のソンソロル島で話されている ソンソロル語 300人 など、一人でも話している人が生存している小言語まで含めて6500程度です。 地域分布でいうと アフリカ 1995言語 東南アジア 1400言語 ニューギニア 1109言語 などが多数の言語が集中している地域で、簡単にいえば、世界の90%の人々が100程度の言葉を話し、10%の人が6000以上の言語を話しているという状況です。 アラスカにある先住民族言語センターのマイケル・クラウス教授によると、6500程度の言葉のうち、これから100年で消滅してしまうのは20〜50%、逆に安泰な言語は5〜10%ということですから、最悪の場合、今世紀末には300〜650くらいしか残らないということになります。 これまで消滅した言語では コーンウォール語(英) 1777 ムババラム語(豪) 1970 マン島語(欧) 1984 クペーニュ語(北米) 1987 ワッポ語(北米) 1990 ウビフ語(コーカサス) 1992 などがあります。 さらに今後の問題はインターネットの普及です。 現在、世界の書物の出版点数の言葉の比率を調べると 英語 28% 中国語 13% ドイツ語 12% フランス語 8% スペイン語 7% 日本語 5% ですが、インターネットを使用している人の母国語は 英語 54% 日本語 7% スペイン語 6% 中国語 5% ドイツ語 5% と、日本語は頑張っているものの、英語が半分以上です。 さらに、インターネットのホームページの言語比率は 英語 84% ドイツ語 5% 日本語 3% フランス語 2% と英語が完全制覇です。 言葉が少なくなったほうが便利だという意見もあるくらいで、言語が消滅することの問題は明確ではありません。日本でも英語第二公用語論まであるくらいです。 言語が減っていくことの問題を説明したいと思います。 『イングリッシュ・ドゥーデン』という図解辞典を調べてみると英語で牛肉の部分を示す単語は「54」あります。フィレ(fillet)、サーロイン(sirloin)、プライムリブ(prime rib)などはご存知だと思いますが、シャンク(shank)とかフランク(flank)など、われわれが知らない部分もたくさんあります。しかし日本語では極端にいえば牛肉しかありません。 ところが、魚になると ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ(東京) ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ(大阪) など、出世魚のように名前が細かく付けられています。 同様にパプア・ニューギニアの、ある言語では鳥について数百の名前があるが、その地域の共通語として作られたピジン英語では「昼間見られる鳥」と「夜間見られる鳥」の2種類の単語しかありません。 それぞれの文化が長年にわたり蓄積してきた文化の多様性が言葉に集約されており、言葉がなくなるということは文化が消滅することになります。 『ジュラッシック・パーク』や『ライジング・サン』などの小説で有名なアメリカの作家マイクル・クライトンの『ロストワールド』に、主人公で数学者のイアン・マルカムの言葉として 「サイバースペースはヒトという種の終焉を意味すると思うがね」 「終焉?なぜ?」 「全世界を電子ネットでまとめあげようとする考えは精神の大量絶滅にほかならない。ヒトは適応のために革新的な行動を発達させる。だが、その革新性は小集団のなかのみで成立するものだ。3人で委員会をつくればなにかをなしとげられるだろう。それが10人となると困難が増す。30人ともなればなにも達成できない。3000万人ならなにごとも実現不可能だ。マスメディアがやっていることはそれさ。マスメディアは多様性を吸収する。マスメディアの世界では、書籍でもレコードでも映画でも概念でも、ベストテンに入らないものは存在しないに等しい。人々は熱帯雨林が消滅し、種の多様性が失われることを心配する。だが知的多様性はどうなる。そのことに気づきもせず、50億の人間をサイバースペースによってひとまとめにくくろうとしている。」 生物の絶滅と言葉の絶滅は共通の危険を人類にもたらしているということです。 |
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