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論文

 先週は最近の日本にはがっかりするような出来事が多いという「がっかり日本」をお伝えしましたが、来年に希望を見出すために、素晴らしい社会の側面も多数あるということを御紹介したいと思います。題して「にっこり日本」です。

 まず総合的な評価ですが、先週も紹介しました「トランスペアレンシー・インターナショナル」が採点している各国社会の透明性についてです。
 今年については来年1月に発表されるので、2014年の評価ですが、1位デンマーク、2位ニュージーランド、3位フィンランドと続き、日本は15位です。参考までに韓国は43位、中国は100位ですから、アジア諸国では日本は透明性の高い国です。

 その透明性を維持するためには報道の自由が必要ですが、これについては「フリーダムハウス」という組織が採点しています。
 これは順位ではなく、7段階評価になっており、2015年版で日本は最上位の47カ国のグループに入っています。
 これも参考までに、産經新聞のソウル支局長の記事への起訴で批判された韓国は第2グループ、中国は第7グループです。
 インターネット上での報道の自由についても採点されており、日本は7位で、韓国の21位、中国の65位と比較すると、アジアでは非常に報道の自由が確保されている国ということになります。

 さらに「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」という組織が167カ国について60の指標を総合して民主主義の水準を測定していますが、2014年の評価では、日本は20位、韓国が21位、中国は144位になっています。

 日本は安全という点でも評価が高い国ですが、イギリスの雑誌『エコノミスト』が、内戦の発生件数、殺人事件の数、武器の入手しやすさなど22項目の指標を合計して「世界平和指数」を発表しています。
 2015年版では日本は8位で、韓国の42位、中国の124位と比べても安全な国という評価です。
 ただし、上位は人口33万人のアイスランド、566万人のデンマーク、850万人のオーストリアなど小国が占めているので、人口1000万人以上の一定規模以上の国だけで比較すれば、7位のカナダに次いで世界2位です。
 2013年にブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会での滝川クリステルさんが現金の入った財布の多くが警察に届けられると、日本の安全を強調しましたが、それが世界では特別のことと受取られているほど日本は安全な国なのです。

 その反対の「世界テロリズム指数」という統計が「ビジョン・オブ・ヒュマニティ」という組織から発表されていますが、日本は最下位、すなわちもっとも危険が少ない国になっています。
 参考までに、最も危険な順番はイラク、アフガニスタン、ナイジェリアです。

 安全以外に日本の評価が高いのは正確です。
 「フライトスタット」という組織が航空会社や空港について、発着の正確さを調査していますが、2015年版で、もっとも発着が正確な航空会社の1位はスペインのイベリア航空ですが、全日空は2位、日本航空は5位に入っています。
 空港での出発の正確さの順番では1位が羽田空港で93%が定刻の15分未満の遅れで出発しています。
 成田空港は残念ながら17位ですが、それでも82%が15分未満の遅れで、北京空港の64%(47位)、仁川空港(44位)の67%に比べれば、極めて正確ということが出来ます。
 鉄道も新幹線が数分遅れるだけで車掌さんが謝るということは世界的に有名ですが、通勤者や通学者に遅延証明書がでるということも驚かれています。
 ブログに載っている外国人の意見には、フランス人の「電車が遅れなしで走ったら話題になる」、イギリス人の「ロンドンの鉄道会社が遅延証明書を発行すれば数日で紙不足になる」、スウェーデン人の「1時間くらいの遅れなら定刻と見なされる」、デンマーク人の「電車が時間通りに来たらニュースになる」など、やや誇張しているにしろ、日本の正確さは世界の驚きです。

 安価ということも日本の特徴です。
 やはりイギリスの雑誌『エコノミスト』が1986年以来ビッグマック指数を発表しています。
 物価を比較するのに世界に浸透している商品がいいということでビッグマックを物差しにしたわけです。
 2015年の価格では、高い方からスイスの6・8ドル、ノルウェーの5・7ドル、スウェーデンの5・1ドルですが、日本は3ドルで39位です。
 もちろん、インド(54位)の1・8ドル、エジプト(50位)の2・2ドルなどと比較すれば高いのですが、先進国としては安価です。

 医療費も国民皆保険制度により安価です。
 2012年のOECD加盟33カ国を対象にした数字ですが、個人が負担する年間医療費は1位のアメリカは37万円、2位のスイスが17万円、3位のカナダが11万円ですが、日本は25位で5万2000円です。
 そのために年間の通院回数が韓国の14回に続いて13回と多く、政府の医療財政を圧迫しているという問題が派生していますが、日本の安価を象徴している数字です。

 「隣の芝生は青く見える」という言葉もあるように、足元の良さに気付かないことが多いのですが、ぜひ長所を見直して新しい日本を創っていく来年になればと思います。





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